「いえとクリスマス」展

イブラヒム恵美子さんについて

2012/12/05

いま、i pesciで展示中のガラス絵作家、イブラヒム恵美子さん。
彼女の作品が織りなす、どこかノスタルジックなカラーパレットと、
温かみあふれる作風には、彼女をかたちづくるバックグラウンドが
とても影響しています。


ひとつは、インドネシアのスラウェシ地方出身のお父様と、
日本人のお母様の間にうまれ、大使館勤務だったお父様の関係で日本で育ったという生い立ち。
大自然がいまだ残るお父様の故郷へは、便の悪さから
まだ数えるほどしか訪れることができていないと言うものの、
彼女が題材にする、素朴でどこかファンタジーを感じる“家”や“もの”、
褪せたような色や、反対にとてもビビッドな色彩は
お父様の故郷を訪れた際に目にした残像なのかもしれません。


もうひとつは、母方のおばあさまが所持していたという、
世界中の国で買い求めた古びた燭台や、瓶、よくわからない民芸品の数々が、
自分のイメージの中にいつもあるとイブラヒムさんはいいます。
おばあさまは、水産学者であったおじいさまとともに、アフリカ、南米など
様々な国を訪れ、その国の雑貨を購入するのがお好きだったそう。


イブラヒムさんの描く世界には、いろいろな国、時代、様式が、彼女の中で融合し作品のなかに凝縮されているのです。
彼女のガラス絵が、ほっとする懐かしさと、温もりを与えてくれるのは、見る側に自身の“故郷”を思い出せてくれるからかもしれません。

























『夜の木』展のお話

2012/11/18

本日より、ブログをリニューアルします。
少しずつですが、i pesciの活動や、日常を
綴らせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

さて、9/26より開催していた『夜の木』展の開催が、
とうとう本日(11/18)までとなりました。
多くのお客様にみていただけたこと、
いろいろな感想をいただけたことをとてもうれしく思います。



さて、ここで『夜の木』の裏話を。
インドのオールハンドメイドの手作り絵本『夜の木』を、日本語版ではじめて出版したのは、タムラ堂の田村実さんです。




田村さんは、もともと「福音書館」で数々の絵本を手がけていらした編集者。
数年前、イタリア、ボローニャの絵本フェアで『夜の木』を見たとき、この本を出版したい!という熱い思いにかられたそうす。
ただ、紙から漉き、一枚一枚ハンドプリントで仕上げる手作り絵本は、
初版1000冊という少なさで、なかなか、日本の出版社での取り扱いは難しく、
「ならば、自分で出版しよう」と立ち上げられたのが、タムラ堂のはじまりなのです。


翻訳は、田村実さんの奥様の青木恵都さん。
翻訳&通訳家として著名な奥様とニ人三脚で誕生したのが
日本語版『夜の木』なのです。


本を手に取ってページを開くと、
まずインドの香りが漂うことに感動します。
目を閉じると、まるでインドのざわめきが聞こえてくるみたい。そして、有名なインドのアーティストが描く絵と、聖なる木が宿す神話が綴られ、読んでいると心がほっと温かくなるのです。


大好評の初版1000冊は、残念ながらほぼ完売とのこと。第2刷は、カバーの絵がかわって、2月末〜3月初旬に発売予定です。


i pesci初のギャラリーを飾ってくれた『夜の木』が、
また来年、ここで聖なるパワーを与えてくれる日がくるといいな、と思います。

絵本の中の挿絵が、大きなシルクスクリーンで刷れられたものを展示。額縁は古木作家の方によるもの。